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タンパク質は身体の土台となる基本の栄養素


タンパク質とは?

タンパク質の定義は『アミノ酸がペプチド結合(-CONH-)によってできた分子』です。

地球上には500種類以上のアミノ酸が存在すると言われていますが、人間に必要なアミノ酸は20種類と言われています。この20種類のアミノ酸が結合し複雑な立体構造を形成することで、様々な生体機能を果たしています。

人の身体の60~70%は水分でできていますが、タンパク質は20%であり、身体の水分を除く固形分のうち約半分はタンパク質にあたる*1ことからも、タンパク質は身体の土台となる基本の栄養素となることがわかります。

 

主なはたらきは2つです。

①体の材料:骨、歯、髪、内臓、皮膚、筋肉、血管、血液など

②生命維持:酵素、ホルモン、抗体、栄養素の運搬、神経伝達物質、酸素運搬、筋収縮



 植物性タンパク質と動物性タンパク質の違い

 

 タンパク質には穀類や豆、野菜などの植物性タンパク質と肉、魚、卵などの動物性タンパク質に分けられます。

それぞれに特長があるので、どちらもバランスよく摂ることがとっても重要です。

 

①植物性タンパク質のメリット

・ポリフェノール(イソフラボン※大豆に限る)や食物繊維が同時に摂取できる

・植物性タンパク質のほうが動物性タンパク質よりも脂肪燃焼効果が高い(脂肪分解に関連するホルモンの分泌を高める働きをもつアルギニンが含まれているため)*7

 

②植物性タンパク質のデメリット

・体内での吸収率が動物性タンパク質より低い(植物性:84%、動物性:97%)*3

・「必須アミノ酸」が十分に含まれていない

 

③動物性タンパク質のメリット

・必須アミノ酸が多く含まれている

・特に筋肉合成に欠かせないロイシンというアミノ酸の含有率が高い⇒筋肉づくりやダイエットに良い

・吸収率が高いので、摂取したときに体を構成するタンパク質をしっかり合成することができる

 

④動物性タンパク質のデメリット

・摂りすぎると脂質の過剰摂取につながりやすい

・植物性タンパク質に比べて胃腸への負担が大きく、消化に時間がかかる

 

「動物性タンパク質だけを摂ったほうが効率よく痩せられる」「女性だから大豆タンパクのほうが、イソフラボンも入っており脂肪燃焼に効果的」など様々な情報がありますが、それぞれの特長を考えるとどちらもバランスよく摂取するほうが健康・美容・ダイエットすべての側面から大切だと考えられます。

さらに、キューサイ株式会社の研究結果*4によると、植物性タンパク質と動物性タンパク質は同時に摂取することで効率よく体内に吸収され筋肉の萎縮を抑制することが明らかとなっています。



タンパク質が体の一部になるまで

 

食品に含まれるタンパク質は、体内でそのまま利用することはできません。

タンパク質は胃や腸で少数のアミノ酸がつながったペプチドに分解され、その後さらにほとんどが1個のアミノ酸にまで分解されます。分解されたアミノ酸は一旦肝臓に運ばれたのちに体中の各組織に送られます。そして、細胞内の核にあるDNAの遺伝情報に従って必要に応じて再度タンパク質を構成し、身体を構成する様々な器官・組織を構成しています。

 

よく、肌に良いと「コラーゲン」の栄養補助食品が販売されていますが、摂取すればコラーゲンが増えるというものではありません。上述のように、コラーゲンを摂ったことでコラーゲンが増えるわけではなく、コラーゲン(タンパク質)を摂ると一旦アミノ酸レベルまで分解されて、その後一部はコラーゲン、一部は別の組織(ホルモンや血液や抗体、内臓など)に再合成されるということなのです。

※ただし、低分子化されたコラーゲンは経口摂取後、一部はアミノ酸レベルまで分解されず、特有のペプチド(グリシンープロリンーヒドロキシプロリン)として血液中~皮膚まで高濃度に届いていることが明らかとなった*5 研究結果もあることから、ある特定の低分子化されたコラーゲンは美肌効果に作用を発揮する可能性が期待できるという意見もあります。



タンパク質が不足するとどうなるか

 

タンパク質が不足すると身体はどうなるでしょうか?

身体のなかで下記の症状のような、身体だけではなく心にも支障をきたしてしまいます。

 

① 筋肉量の減少 

ダイエットや原料のために低糖質の食事を続けていると、身体に必要なエネルギーを確保しにくくなります。体内に入ってくる糖質(グルコース)が減少すると身体は危険を察知し、筋肉を分解することで必要なエネルギー(ATPといいます)を作り出します。

つまり、必要量の糖質(グルコース)を補給しないまま、生活していると、エネルギー源を筋肉に頼らざるを得なくなり、筋肉量が減ってしまう可能性があります。(詳しくはブログ「糖質について~適量が重要~」をご覧ください

 

筋肉には骨格筋・平滑筋・心筋という3種類の筋肉があります。骨格筋とは、姿勢を保ち、身体を動かす筋肉です。平滑筋は内臓や血管壁に存在し、自律神経によって収縮と弛緩を繰り返します。心筋は心臓にのみある筋肉で、心筋の収縮により心臓はポンプのように動くことができています。

この3つのうち、「骨格筋」がエネルギー源として使われてしまうため、やがて運動がおっくうになる⇒立つ・歩くなどの日常生活に支障がでる⇒ますます活動量が減り筋肉量が減る…という悪循環に陥ってしまいます。 


 ② 髪の毛が薄くなり、肌ツヤがなくなる

男女問わず、髪や肌は丈夫に保っていたいものです。

特に女性は、肌のハリツヤを失いたくないですよね。皮膚のハリや弾力を生み出しているのは、真皮にあるコラーゲン(膠原繊維)とエラスチン(弾力繊維)であり、どちらもタンパク質で構成されています。

加齢によって肌が衰えるのは、このコラーゲンやエラスチンが破壊されて弾力を失うため。また、タンパク質不足が原因で乾燥やしわ、たるみなどの老化現象を引き起こす一因になります*7。

※コラーゲン生成にはタンパク質にビタミンC、鉄の複合摂取が重要です

 

また、髪の毛の大部分はケラチンというタンパク質で構成されています。そのため、タンパク質が不足すると、枝毛・切れ毛の原因につながるほか、薄毛を招く可能性もあるので要注意です。


 ③集中力の低下、うつ症状

やる気を出してくれるドーパミンや気持ちをリラックスさせるセロトニンなどの神経伝達物質は、アミノ酸から構成されています。そのため、タンパク質が不足すると、神経伝達物質が脳内で普段の様に作られず働きが鈍くなります。

神経伝達物質のであるセロトニンやメラトニンが不足すると、うつや不眠とった症状が現れたり*8、ドーパミンが不足することで無感情などを引き起こします*9。


 

④貧血

貧血の大半は赤血球が少なくなる「鉄欠乏性貧血」と言われています。

この赤血球の主要成分ではるヘモグロビンは、ヘム(鉄)とグロビン(タンパク質)の複合体です。つまり鉄と結合したタンパク質そのものということ、なので、タンパク質が不足すると必然的に赤血球をつくることができず、貧血になるということもあるのです。



タンパク質を摂りすぎるとどうなるか

 

タンパク質は多く摂りすぎても、健康上に問題が起きるといわれています。

懸念される代表的な症状は下記のとおりです。

 

①内臓疲労

私たちが摂取したタンパク質は、上述のとおり体内で分解と合成を繰り返します。その過程において、食事から摂ったタンパク質のうち余ったタンパク質は分解されて「窒素」になります。

窒素を対外に排泄するためには、肝臓・腎臓の働きが必要です。体内の分解過程で必要なくなった窒素は「アンモニア」に変わります。アンモニアは私たちの身体にとって有害な物質であるため、肝臓で無害な「尿素」に変換されたちに腎臓で「尿」として排泄されます。

 

このときにタンパク質を過剰に摂取してしまうと、その分多くの窒素を尿に変換しなければならなくなります。

そのため肝臓や腎臓にかかる負担が普段よりも大きくなり、内臓疲労を引き起こしてしまう可能性があるのです。

 


 

②肥満のリスク

特に動物性タンパク質は種類によっては脂質が高いので(例:鶏もも肉、豚バラ肉、マグロのトロ、卵など)は摂りすぎるとカロリーオーバーになってしまいます。その結果、肥満を招くとうことにもなりかねません。

 

 

③腸内環境の悪化

動物性タンパク質を摂りすぎると、身体に吸収されなかったタンパク質がそのまま腸内に送り込まれます。腸内に送られたタンパク質は悪玉菌にのエサになってしまうので腸内環境の乱れが発生しやすくなります。本来、一番少ないはずの悪玉菌が増えてしまうと腸の蠕動運動が弱まり、食中毒菌や病原菌の感染の危険性、発がん性をもつ腐敗産物が多く作られてしまうしまう可能性があります。腸内に腐敗産物が増えると体臭や口臭の原因にもなります。


自分の適量に合ったタンパク質を!

 

私たちは1日にどれくらいの量のタンパク質を摂取すればよいのでしょうか?

厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」*6 によると1日のタンパク質の推奨量は18歳以上の男性で60~65g、女性で50gとなっています。ここでいう推奨量は目標量の下限であると示していることから、最低でもこの量は摂るべきということです。

 

一方、上限量については明記されていません。

上述でタンパク質の摂りすぎのリスクについて掲げましたが、厚生労働省では『耐容上限量は、最も関連が深いと考えられる腎機能への影響を考慮すべきではあるが、基準を設定し得る明確な根拠となる報告が十分ではないことから、設定しなかった。』と記述しています。

 

このことから、

☆成人女性は最低でも50g/日、年齢・活動量・妊娠授乳期か否か・体格によって増加

☆成人男性は最低でも60g/日、年齢・活動量・体格によって増加

 

と考えるのが必要量と私は考えます。

 

また、1食あたりのタンパク質の量は多すぎても、少なすぎてもよくないです。

1日の量を1食でまとめて摂ろうと思っても体内では利用しきれず、余剰分は排出されるとのこと。

1食あたり20~30gのタンパク質を1日3回程度に分けて摂ることでアミノ酸の血中濃度を維持(=筋肉合成のスイッチが入る)できるといえます*7。


<参考>

*1:かまぼこはタンパク質のかたまり、全国かまぼこ連合会、https://www.ichimasa.co.jp/enjoy/pdf/kamaboko_protein.pdf(2020.3.8アクセス)

*2:速水詇、動物性蛋白質と植物性蛋白質の栄養上の相違点、栄養と食糧、20巻4号、p259-266

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1949/20/4/20_4_259/_pdf(2020.3.9アクセス)

*3:5大タンパク質の違い、森永製菓プロテイン公式サイト、https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=15&category=health(2020.3.9アクセス)

*4:植物性たんぱく質と動物性たんぱく質の同時摂取効果を検証、FNNPRINE、https://www.fnn.jp/posts/000000129_000003705/201909021430_PRT_PRT(2020.3.9アクセス)

*5 コラーゲンペプチドが皮膚に届くことを確認、ファンケル共同開発https://www.fancl.jp/laboratory/report/37.html(2020.3.9アクセス)

*6 日本人の食事摂取基準(2020年版)、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf(2020.3.11アクセス)

*7 藤田聡、眠れなくなるほど面白いたんぱく質の話、日本文芸社、2019

*8 うつ病と食事、あさひこころのクリニック、https://www.asahi-kokoro.com/original10.html(2020.3.11アクセス)

*9 調査・報告 タンパク質と脳の栄養~うつ病とタンパク質摂取~、畜産の情報(2017.9)p52‐61、https://www.alic.go.jp/content/000141085.pdf(2020.3.11アクセス)