このような症状はありますか?
☑朝起きるのがつらい
☑熟睡できず、朝に目が覚めても疲れが取れない
☑甘いものや塩分が高いものを好んで食べる
☑常に倦怠感がある
☑性欲の低下
☑ストレスにうまく対処できず、小さなことに対してもイライラする
☑ベッドや椅子から立ち上がるとくらくらする
☑気持ちが落ち込む
☑PMS(月経前症候群)の悪化
☑コーヒーやコーラなどのカフェインがないとやる気がでない
☑思考が定まらず、ボーっとすることが多い
☑食事をスキップするとぐったりしてしまう
☑夕方6時以降になるとやっと元気になってくる
☑我慢ができなくなり、急にキレてしまう
☑午後3~4時はぼんやりしている
※詳細の自己診断テストはhttp://adrenalfatigue.jp/ で行うことができます。
3つ以上当てはまる方は『副腎疲労』の可能性があるかもしれません。


副腎疲労(adrenal fatigue:アドレナルファティーグ)とは
副腎疲労とは、主にストレスと栄養失調、体内の炎症がきっかけに慢性的な疲労やうつ病のような症状をもたらす病態です。
アメリカ医師・ジェームズ・L・ウィルソン博士が1990年代に提唱した概念です。
近年の研究では、高血圧、糖尿病、動脈硬化、胃腸障害、更年期障害、うつ病や不眠、認知障害、アレルギー等の免疫疾患など、多くの病気や不調には「副腎」から分泌されるホルモンが深くかかわっていることが明らかになっているようです。
副腎で作られるホルモンは50種類ほどあると言われ、体内で起こる主な生理的なプロセスのすべてに影響を与えています。例えば、血糖や血圧のコントロール、免疫機能調整、炎症反応、精神神経系のサポート、骨の代謝作用、性ホルモンの生成など様々な働きをしています。
中でも一番重要なのが、心身を元気にしたり、ストレスを打ち消したりする働きをもつ『コルチゾール』です。
コルチゾールの分泌量は1日のうちで大きく変動し、朝に多く夜にかけて少なくなります。しかし、過度のストレスを受けると機能が低下してホルモンが適正に分泌されにくくなり、上記のような症状が現れます。
※コルチゾールのもつ主な作用
・脳の覚醒に関わる精神神経系に対する作用
・タンパク質や脂肪のエネルギーの変換作用
・細胞のエネルギー源となるブドウ糖を作り出す作用
・血糖や血圧をコントロールする作用
・炎症を抑える免疫機能調整作用
・利尿作用を促進する作用
・骨代謝に関わる作用
・ミネラルバランスの調整作用
副腎から分泌されるホルモン、コルチゾールは脳からの指令で働き、分泌されます。
なので、脳が感じたストレスそのものが、副腎のストレスとなります。
副腎と脳(メンタル)の関係
少し詳しくご説明しますと、身体の自律機能やホルモンは、
①視床下部が指令して
②様々なホルモンを分泌する内分泌器官・脳下垂体が刺激され、
③副腎に伝達されて
④副腎からコルチゾールが分泌される
というプロセスを辿ります。
この視床下部➡脳下垂体➡副腎が上手く連携することにより、
ストレスに合わせてコルチゾールの分泌量がコントロールされます。
“適量”分泌されたコルチゾールは血液中に放出されて、身体のすみずみにいきわたります。そして、体内で起こっている炎症を鎮め、身体を修復し、結果として心も元気になるように作用します。
しかし、心的な抑圧や過度なストレスがあると、視床下部にダメージを与えてその働きを抑制してしまいます。すると、コルチゾールのバランスも崩れてしまい、副腎が疲弊し、身体のあちこちに不調が現れてしまいます。
よって、副腎疲労による症状が出ているのであれば、心の状態が良くない、つまり、脳に過度のストレスがかかっていると考えられます。
逆もしかりで、“メンタル”に問題が出ている場合は、副腎疲労がその原因に絡んでいることが多いです。
以上より、副腎ケアをすることが“メンタルの問題”の症状を改善する手立てとなると考えられます。


副腎疲労を起こすストレス源と対策
副腎疲労を起こすストレス源は、イライラやショックなどの精神的な要因や過労、睡眠不足といった肉体的な要因だけではありません。化学薬品、重金属、食品低下物などの毒素を日常的に取り込む環境要因も大きなストレス源となります。
例えば、髪のカラーリングや整髪料、虫歯の治療で使われた充填剤、大気汚染、殺虫剤や消臭剤、薬などがあります。
体内にはいってしまった毒素は肝臓の働きで解毒され、通常は体外に排出されます。
しかし、副腎が疲れているとこの働きが低下し、体内に毒素が溜まりやすくなります、体内に入った毒素は炎症を身体のあちこちでお越し、それがまた副腎をつかれさせるといった悪循環になります。
副腎疲労を回復させ、腸や脳の状態を整える基盤となるのが『食べ物』です。
なので、副腎疲労を抱える方は何を食べ・何を摂り入れないの選択が非常に大切になってきます。以下は特に気を付けていきたいポイントです。
☑小麦に含まれるグルテンはアレルギーや腸内炎症を引き起こしやすいので避ける
☑乳製品に含まれるカゼインもアレルギーを誘発するのでやめる
☑副腎疲労を誘発するカフェインはやめる
☑抗炎症作用や神経系に作用するω3を摂取する
☑心の安定に作用するセロトニン、良質な睡眠を促すメラトニンの分泌を促すため、肉魚からのタンパク質を少量小分けに摂取する
☑コルチゾールや様々なホルモン産生やATP合成に必要なビタミンB群の補給
☑副腎をリラックスさせてくれるビタミンCをとる
☑ミトコンドリアの働きに関与するマグネシウムを摂取する
☑解毒作用を助ける薬味やハーブ類を摂り入れるようにする
などがあります。
または、メンタルケア(物事の捉え方を変える)もとても重要です。
副腎疲労の人には、完璧主義・真面目・自尊心が低い方が多いようです。
『今日は60%できたから、これで充分』と自分のしたことに、その都度肯定的な評価を与えたり、
リラックスして日頃働かせすぎている脳を休ませてあげる時間を作ることも大切です。
副腎をいたわる生活を送れば、心地よく過ごせるようになると思います。
今では、副腎疲労を取り扱うクリニックも増えているので、気になる方は近くのクリニックに相談するのも一つかもしれません。
<参考・引用文献>
・宮澤賢史著.医者が教える「あなたのサプリが効かない理由」.イースト・プレス株式会社.2018.
・本間涼子,本間龍介著.心と脳の不調は副腎ケアで整える.祥伝社.2016.